ロリコンのセクシュアリティとしての特殊性と、その社会的措置の妥当性 【その2】

http://anond.hatelabo.jp/20081223231837
措置の問題としては、「人」に対する措置なのか、「行為」に対する措置なのか、「作品」に対する措置なのか、
その他の問題としては、社会的に「犯罪発生率低下を行う運動」の話と、「ロリコンの人の危険度」の話も、まずは切り分けた方がよい。
何が論点となりうるのかをもう少しまとめたほうが議論の見通しがよくなると思われ。

ロリコンセクシュアリティとしての特殊性と、その措置の妥当性
http://anond.hatelabo.jp/20081223100716
http://d.hatena.ne.jp/maskin-monotonicity/20081223

の続きということで、

だらだらリストしてたら、びっくりするほど長くなった…境界例描き出すとこれは大変だわ。

【1】ロリコンの「人」に対する措置

下記はすべて、「児童への直接の性犯罪行為に至っていないロリコン」に対するもの。

  • 1.ロリコンは許してはいけない
    • 1aロリコンの欲望は危険だからロリコンの人は即刻、隔離(病院に入れる、隔離地域に集団で移す、居住地域などの個人情報を危険情報として一般公開するなど)すべき
    • 1bロリコンの欲望は極めて危険なので、即刻、逮捕すべき。
  • 2.ロリコン許容論
    • 2a.ロリコンの危険性は、証明もされていないが、ないとも言えない。よって、当面は特殊なセクシュアルマイノリティとして対処するのが妥当な措置。できれば治療することが望ましい。
    • 2b.ロリコンの危険性は、証明もされていないが、ないとも言えない。よって、当面は同性愛等と同様のセクシュアルマイノリティのとして対処するのが妥当な措置。「治療」を推奨するといった議論は、セクシュアル・マイノリティに対するセクシュアリティの差別にあたるため、控えられるべきである。
  • 3.ロリコンOK
    • 性犯罪と認定される行為に至らない限り、ロリコンは認められるべきセクシュアルマイノリティであり、同性愛者と同様の扱いを受け、「治療」等の議論を行うことも控えられるべき。

【2】ロリコンの「行為」への認可

性行為
  • 1.法律上定められた年齢に達しない児童との性行為は全てアウト
  • 2.まっとうな合意ならOK
    • 判断能力が十分にあると考えられる児童と、合意の上行為に至っているのであれば、大人のそれと同様に対処してよい。
  • 3.合意ならすべてOK
    • 児童に「うん」と言わせればすべてOK(※児童の「判断能力」については通常、ないと見なされる。このため、この立場を取る場合は「判断能力など判定できない」といった別の論理をもちだしてくる必要がある)
  • 4.事件にならなければOK。当人の起訴がなければOK。
    • 起訴がなければ事件でない。実質的な有限な社会リソースを割り当て、運用をする上で、起訴がないものにまで「抑止」を云々するべきではない。(※起訴する能力のない児童や、DVを受けている児童について見落とされる危険性が高い。ということを踏まえる必要あり。)
  • 5.法改正を通して基準(年齢とか)を緩和すれば、法の範囲内でOK
    • 法の基準が十分でないので、もう少し範囲を再考した上で、認められる範囲を広げたり、縮めたりすべき
  • 6.オールオッケー
その他の性的行動
  • 1.児童ポルノに類する作品等の閲覧、所持→【詳細は後述】
  • 2.公共的空間において、自らの欲望を明らかにする行為
    • 2a.任意の10代前半の有名タレントと性行為を行いたい、とウェブサイト等で描く行為のうち、著しく配慮に欠けている可能性のあるもの。(「○○たんはぁはぁ…やりてぇ…。やらせろーーー」など)
    • 2b.単にセクシュアリティをカミングアウトしているもの。(「自分は、ロリコンだと認めざるを得ません」といった記述など)
  • 3.私的空間において、自らの欲望を明らかにする行為
    • 3a.任意の児童に対して、性的欲望があることを、配慮にかけた言動によって行うこと(「やらせろよ、まじで。おかすぞ、こら」など)
    • 3b.任意の児童に対して、性的欲望があることを、相手にある程度まで配慮しつつ、誘いかけ・カミングアウトしているもの(「あなたがよければ、セックスをしたいと思っています。」など)

【3】児童への性暴力に対する抑止活動について

  • 1.児童を性暴力から守る市民活動は優先的に行われるべきか。(「夜道は気を付けましょう」といった啓蒙活動や、「なるべく知り合いの大人の人の目の届く範囲で遊びましょう」といった措置。町での住民パトロール活動)
  • 2.ロリコンを一般社会から、病院に入れたり、集団隔離地域などに入れることによって隔離するべきか。
  • 3.ロリコンである、というだけで逮捕すべきか

【4】ロリコンの欲望に関係するメディア、創作行為など

下記それぞれについて、

(α)作品による、実際の犯罪行為の抑止(ガス抜き)機能
(β)作品による、実際の犯罪行為の誘発機能
(γ)作品が存在することで、子児性愛者を増やす可能性(もともと、ノーマルだった人が、作品に触れたことで目覚めてしまう)
(δ)作品のa.撮影(創作)、b.流通・翻訳、c.所持、e.閲覧 といった行為自体が許されるか否か

実写の場合

撮られる側(児童)の要件

  • 十分な判断力を持った児童か
  • わいせつ行為が行われている動機は、自発的で内発的動機にもとづくもの(恋人との性行為など)か、自発的だが外発的動機に基づくもの(AVによる商業目的)か、強制的か(レイプ)か
  • 撮られている内容は、性行為か、ヌードか、半裸までか
  • 撮影されていることを合意しているか
  • 撮影されたものがどういう形で流通するのかについて十分に理解・合意をしているのか。(たとえば、AVとして流れた場合に、P2Pファイル共有ソフトなどによって映像が共有され、実質的にネットワーク上から消そうと思っても極めて困難になる、など)

撮る側、制作、流通サイドの要件

  • 撮影、流通のそれぞれについて相手側の合意を得ているか、得ていないか
  • 撮影、流通のそれぞれについて相手側の合意を得る前に、必要十分な知識を与えたか
  • 撮影、流通のそれぞれについて制作者自身が十分な知識を持っていると言えたか

その他の要件

  • いつ作られたのか、どこで作られたのか


 など。


 バリエーションはとても多いが、例としては、
 「判断力のない児童が、海に遊びに来ていた際の半裸の水着映像が、親によって撮影され、ウェブ上にアップロードされた後、ロリコンサイトからアクセスが殺到している場合の、この被撮影者(児童)、撮影者(親)、閲覧者(ロリコン)の行為の是非」
 「学費が支払えない児童が、学費を稼ぐ目的で性行為に至っているものが、本人の合意なく撮影され、Winny等で流通している映像について、被撮影者(児童)、撮影者、所持者、閲覧者の行為の是非」
 「判断力のある未成年者が、恋人のために性行為を撮影したビデオが未成年者の恋人によって所持されているだけだが、5年後に所持者が成人になってしまった場合に見たとき、その被撮影者(児童)、撮影者(児童)、所持者(児童→成人)、閲覧者(成人)の行為の是非」
 「十分な判断力を持った児童が、自発的で内発的な動機に基づく性行為を、撮影・流通に十分、理解・合意した上で、Winny等で流通させている場合の、被撮影者、撮影者、所持者、閲覧者の行為の是非」
 など。

実写と判別がつきにくいほどの合成映像やCGの場合
  • いつ作られたのか、どこで作られたのか
  • モデルがいる場合(アイコラなど)、実写の場合と同様に、モデルがそれに対する合意を行っているか、それはどの程度(性行為、ヌード、半裸)のもので、存在しているのか、流通まで行われているのか
  • モデルがいない場合(超リアルCGなど)

「一目見ただけだと、実際の児童がレイプをされている映像かと完全に勘違いしてしまうようなリアルCGの映像で、実際のモデルがいないときの、作成者、流通、所持者、閲覧者」

マンガ、アニメ、CG等の場合
  • いつ作られたのか、どこで作られたのか
  • モデルがいるか(モデルがいれば、実写の場合と同じく合意の問題へ)
  • どの程度リアルか
  • 見た目上の年齢はどのように見えるか
  • 設定上の年齢はどうなっているのか
  • 声はついているのか
  • どの程度具体的か
  • どういった文脈で描かれているものか
  • 流通について意図した範囲内での流通がなされているのか(文脈から切り離されているか、いないか)

 

蛭子能収風のリアルとはほど遠い絵で、エロマンガ雑誌に1コマだけ描かれた、10歳の児童がレイプを受けているシーンの作成者、流通責任者、所持者、閲覧者」
「とてもデッサンのしっかりしたリアル系のうまい絵を描くエロ漫画家(例:鳴子ハナハル)が描く、設定上は21歳だが、どう見ても中学生にしか見えないような女の子の5ページにわたる恋愛セックスのシーンが、エロマンガ雑誌に掲載されている場合の、作成者、流通責任者、所持者、閲覧者」
「劇画調の漫画家(例:さいとうたかお)が描く、社会問題として児童虐待を描く作品中で20ページにわたる児童がレイプを受けるシーンが、最初は左翼系政治雑誌に掲載されていたが、レイプシーンだけがスキャンされて、Winny上で流通してしまっていた場合の、作成者、流通責任者、所持者、閲覧者」
「デッサンのしっかりとした冒険ファンタジーシナリオのアニメで、設定上も見た目上も13歳となっている女子が、30歳の男性と性行為におよぶシーンが、半裸およびシルエット描写が3秒間ほどなされていた場合」
「異様に老けた登場人物しか描かないが、非常に絵が上手くリアルな漫画家が描いたシリアスなストーリーマンガで、設定上は14歳だがどう見ても30歳ぐらいに見える児童が恋人と自発的に性行為を行っているシーンが、2ページにわたって描かれていた場合」

小説、文字によるもの
  • いつ作られたのか、どこで作られたのか
  • モデルがいるか(モデルがいれば、実写の場合と同じく合意の問題へ)
  • どの程度具体的な描写か
  • 言語の読める相手に読まれたのかそうでないのか

「1000年前の日本で女性の手によって描かれた、成人男性が親も本人の合意もなくさらってきた10代の少女と、数年育てあげたのち、やはりまだ10代だった少女と、少女の合意を得ずに性行為を行う際の作成者、流通責任者、所持者、閲覧者および、現代日本語に翻訳した人間」(※言うまでもなく源氏物語のこと)
「「10歳の少女が、30歳の男性に強姦を受けた」という21文字を描いた新聞記事の作成者、流通責任者、所持者、閲覧者」
「「10歳の少女が、30歳の男性に強姦を受けた」シーンを1000文字で描写した、裁判記録の作成者、流通責任者、所持者、閲覧者」
「「10歳の少女が、30歳の男性に強姦を受けた」シーンが合計30ページにわたって入る、全体で400ページほど描かれた社会派ノンフィクション小説、から強姦シーンのみ抜き出して読む読者が読者全体の30%を締めるような小説の、作成者、流通責任者、所持者、閲覧者」
「「10歳の少女が、30歳の男性に強姦を受けた」シーンが合計100ページにわたってギリシャ語で描かれているエロ小説を、ギリシャ語の読めない人に100人に配った場合の作成者、流通責任者、所持者、閲覧者」

【補】:ここまで書いただらだらとした感想…と、ロリコンの人の危険度

細かい論点分け、線引きの議論は、まじ、専門で研究したい人でもないかぎり、これは疲れるっぽ…、とりあえず、一応の法システムとかにまかせておきたい気分になったYO……
まあ、結局、ロリコンの「危険性」をめぐる、なるべく実証的な議論が出てこない限り、こういう議論いくらしても仕方ないっつーか。まあ、それに加えてロリコンにも程度があるからなぁ。老けて見える16歳の子とかっていくらでもいるもんなぁ。そういう子が22だと偽って、接触してきたら、こっちもわからないけど、それはロリコンなのかなぁ…ってか、捕まるのかなぁ……、そういう場合は、児童本人による虚偽および、加害者による過失と認められるのかなぁ。認めてほしいなぁ。結局、年齢よりも「見た目」で、「明らかに中学生以下の人以外には、性的興奮を覚えず、強い性的衝動をがまんできない」とかいうガチロリの人と、「14,15歳ぐらい以降の子ならケースバイケースで性的対象と感じうる。もちろん、それ以上の年齢に対しても覚えうる。」ぐらいの人と、まあ、ロリコンの危険度と一口に言っても、たとえば
「13歳以下しか無理。したくてたまらない、やばさS級」
「15歳以下しか無理。どうにか抑えてるやばさA級」
「11歳から30歳まで可能な、範囲の広い、やばさB級」
「ややロリ志向で、15歳以上から幅広くOKな、やばさC級」
とか分けられるとして、「S級」の人はやっぱり、「C級」とはぜんぜん違うよなぁ。やっぱ、「S級ロリコン」「A級ロリコン」な人は、治療できるんなら治療したほうが幸せになれるよね。セクシュアルマイノリティとして、存在の権利だけ認めても、性的願望が達成される機会については一切認められないわけだしなぁ。[選択肢a].一生、ほんものとはできなくて満足してもらう、という発想になっていただくか、[選択肢b].性行為を体験したいのであれば、治療していただいて、成人とお願いします、しかないよなぁ。好きな方をご選択くださいね、と。犯罪者予備軍扱いされないまでも、不幸には違いない。
「B級」と「C級」みたいなケースは、別に、現行法の範囲内で性的欲求を達成可能な範囲なのだから、成人以上で我慢しとけ、という話だよね。で、犯罪者予備軍扱いされなきゃ、まあ、いいだろう、という。

そういえば、障害者の性的欲求をかなえるための『セックスボランティア』『私は障害者向けのデリヘル嬢』って本があるけれども、オプションの一つとしては、ロリコンの性的欲求をかなえるための、「十分に知識も、判断能力もある児童による、自発的・内発的な意志にもとづいた<性的障害者としてのロリコン>への性的サービス」商売 or ボランティアって、成り立つのかしら。まあ、いまのところ、「途上国まで行って、児童売春の市場で少女を買う」っていうのが、ガチロリコンの人々が性的欲求をかなえる方法なんだろうなぁ。途上国で、児童売春している少女のほとんどが、とうてい自らの自発的な意志にもとづくものと考えにくい以上、国内で犯罪が起こるのを防ぐために、海外にそのツケを回しているだけ、とも言えるわけだよなぁ。「A級」「S級」のロリコンの人をセクシュアルマイノリティとして、認めた上で、彼らの欲望が爆発しそうなときに犯罪を起こさせずにケアするシステムを作ろうと思ったら、「十分に知識も、判断能力もある児童による、自発的・内発的な意志にもとづいた<性的障害者としてのロリコン>への性的サービス」というものを社会システムとして備えるっていうのが、一つのオプションとして議論……されうるのかなぁ。まあ、そういう議論はまったくなくはない気はするけど、まー、無理だろうなぁ。でも、国内で暴発するか、海外で児童売春するか、ポルノで済ますかといったことをしなければならないだろうからなぁ。権利だけ認めて欲求を果たすのは認めない、って議論がどこまでガチロリコンの当人たちにとってありがたい話なのか、謎だよねぇ。

【補2】:「ロリコン」の<自然性>という基準

http://anond.hatelabo.jp/20081221182757
こんなエントリが釣りに釣りまくって、200集めてたのね。

 たしかに、当該社会的な基準のほかに、自然的/生物学的基準が、社会的基準に疑念を投げかけるべき別の基準として機能してもよい。その意味で、こういう視点そのものが出てくること自体は、けっしてわるいことではない。ただし、生物学的基準「だけ」で、他の基準を無視できる、という議論の建て方は、人間が「社会的動物」ーー言い換えれば、自らの直感以上に、他者の利害/権利調整などを高度に事後的評価を行いながら生きている動物である限りにおいてーー議論を単純化しすぎているという謗りは免れ得ないだろう。
 13歳以上の少女に欲情するロリコンが、生物学的にみて、そんなに変なものではないのは上記のエントリで述べられている通りだと思う。社会状況によって、OKな年齢は変わる。そして、社会状況によって、何が気持ち悪いと思われ、何が問題ないかと思われるか、は変わる。「生物的機能」というのが、議論の前提となる一つの基準であるのと同様に、「社会的常識」も、議論の前提となる一つの基準である。そして、前提であると同時に、変化させていくことを論じることが可能な対象でもある。この、「議論の前提でありながら、変えるべき対象でもある」という性質はやっかいである。とりわけ、サイボーグ技術や、バイオテクノロジーが、急速に進歩していく現在においては、「生物学的前提」すらも、変更させられてしまう可能性がある。高度な社会システムを発展させた結果、ロリコンが「不幸」しか生まないというのであれば、人間の身体を作り変えよう、というプロジェクトを始動させようという発想はありうる。それを支持するかどうかは別問題として、議論として「ありうる」。(ちなみに、わたしは身体の作り変えは、リスクの程度に鑑みて、慎重に行っていく限りではOKである、と思っている。身体にかかわるテクノロジーはかなりクリティカルな事態を一瞬にして引き起こしうるだろうから、あまり安易に議論するのは危険だが、感情的な議論もまた同様に不毛である。)
 生物学的前提を、「変更し得ない前提」として論じることの価値はどんどんと低下しつつある。その「低下」の問題に焦点があてられてしかるべきだとは思う。生物学的前提こそが正しいという態度は、あまりに素朴な自然主義者だと思うが。

【補3】ロリコンペドフィリアの違い 2010/02/03追記

http://yucl.net/man/255.html でわかりやすく解説されている。

要点だけメモっとくと

ペドフィリアの定義は
1.精神医学上の区分(DSMIV)では、13才以下が問題。(法や社会倫理的な基準と、精神医学上の基準には乖離がある。)
2.性行為に至らなければ問題ではない。
3.「複数児童との性行為」が問題となる。これは、「たまたま好きになってしまった相手が若かった」という場合を除外するためではないか。

とのことらしい。

また、決定的な「治療法」はまだ、ない。施設収容か、性欲を根源から断つなど。